滄海のひとりごと

ナウでヤングなわけがない一研究者のひとりごと集
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著作権について〜知は誰の物か?
Winny作者逮捕事件(やや旬をすぎたが)を機に、著作権というものについて考えてみたい。
NHKの番組などで結構知られていることだが、世界で最初に著作物の権利を保護する法案を設けたのがアメリカのトマス・ジェファーソン(独立宣言の起草者、第3代大統領)である。形のない創造物である知的財産、それはデーターであるが故に複製が可能でそれ故価値がある物、そういった創造物の著作者の権利を如何に守るか、いわゆる「知の所有権」について、法律という形でそれを保護しようと考えたのである。

当初の著作権法は、著作物の権利を独占的に認める期間を17年と定めたが、この17年でもジェファーソン自身は長すぎると考えていたと言われている。しかし、アメリカではその期間は現在では95年と、法律を改正しどんどん長期化する傾向にある。(75年から95年の延長は、2003年に切れるはずのミッキーマウスの著作権を今後も維持するために、ディズニーの強力なロビー活動によって成されたといわれ、「ミッキーマウス保護法」とあだ名されているが、この方向性はそれだけが理由ではないだろう。広範に知的所有権を押さえ、その使用料により収益を計るというのはコンテンツ業界だけではなく科学・工業分野でもアメリカの国家戦略となっている。)
しかし、新しい知的創作物は、どのようにして作られるのであろうか?
アーサー王と円卓の騎士達の物語は、北欧神話やケルト神話、さらにはフランス地方の湖の騎士の物語などを組み合わせ、創り出された物語である。そして最近話題になった指輪物語を読むと、アーサー王の物語との共通点を多く見いだせる。
ディズニーの映画などの多くも、アンデルセンの名作などを参考にし作り上げられた物である。そしてアンデルセンの童話は、地方に伝わる伝承や物語を土台に築かれた物である。
科学分野では、あたらしい科学的な知見というのは常にそれまでの科学的知見を土台にしてその上に築かれた物である。

そう、人類の知識や知恵というのは、常に現在ある知識や知恵をベースにして、その上に発展させてきたものである。現在の知的財産はすべてそういう人類共有の公共の知識、いわゆるパブリック・ドメインをもとに築かれた物であり、知的財産はいずれはそのパブリックドメインに帰されなければならない。ニュートンのプリンキピアを利用するたびに、ニュートンの遺族やケンブリッジ大学に使用料を払うのは現実的ではない。万有引力の法則はもはや人類共通の知識なのである。

しかし一方、人類が新しく生み出していく知的財産、その創造者の権利を守ることも逆にパブリックドメインの発展に欠かせない。

そこで、現在の著作権法に年限が設けられているのである。一定期間創造者の権利を守り、利益を還元した後、その知識をパブリック・ドメインに帰するためである。
では、その年限を、法律を改正することにより際限なく延ばしていくのはどうなのだろうか?、それが2000年前後からアメリカで議論になっている。


さて、私が関わっている大学での学術研究の分野では、日本ではつい最近までは新しい成果は学術論文に発表するという形で公にするのが一般的であり(今でもそうであるが)、それらの知識はいわゆるパブリック・ドメインとして他の研究者に利用されるという形になっていた。しかし最近では日本もアメリカに倣って(ずいぶん遅いが)科学技術の知的所有権を所持することにより競争力は得るというのが国家的な戦略になっており、大学での研究でも学術論文を書くより特許をとる方に力を入れるようにという方向になりつつある。いわゆる産学連携というのもこの流れである。これには、現実に役に立たない無駄な研究より実利のある研究を促進するという良い面もあるが、基礎的な研究というのは得てしてすぐに特許や金には結びつかないものであり、日本は応用研究よりむしろそういう基礎研究の方が遅れているという現状を考えると、問題点もあるように思われる。

p.s. 今回述べた話は、一般的に言われている総論で、別に私のオリジナルでもなんでもないので、ご了承ください。

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コメント
from: OnlineSlot   2006/03/17 12:19 PM
Good site and good blog.Thanks
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以下の文章は思い込みや誤りが多分に含まれている可能性がございます。つっこんでください。 さて、世間とネット界を騒がせたwinny事件も一段落しましたが、 はてさて、インターネット上の著作権とは何ぞや? ということで、インターネットと著作権という反対の
KITTENZ AND THEE GLITZ☆ | 2004/06/19 11:36 PM
著作権について〜知は誰の物か?
della chitarra di | 2007/04/30 12:35 PM